尾崎豊New York 時代の逸話
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Dentistry

「今ここで喧嘩をしたら、

困るのはあなたでしょ。

あなたの歯を見ていると、

今までされてきた治療は

滅茶苦茶なもので、

やった歯医者の

好い加減さが

手に取るようにわかる。

そんな人種に

良い感情を持てるわけがない

のも良くわかるよ。

おれの人生を振り返っても

とても他人事とは

思えないから同情するよ。」

と言って

何故おれがDENTISTに

なろうとしているのかを話した。

DENTISTというのは

アメリカの教育を受けて、

学位をとりアメリカ国内の

開業医免許を取得した人をさす。

歯医者とか歯科医師というのは

日本の教育を受け、

日本の国家試験に合格した人である。

歯科医師は

歯医者にはなりたくないから、

差をつけるために大学院を出たり、

論文を発表したりする人を指す。

しかし、

治療を受けた場合、

結果は同じである。

その中でも最悪なのは

ハカイシャハイシャと

呼ばれ治療技術は何もなく、

自分の生活のために

平気で破壊活動をする者を指す。

日本の歯医者や

歯科医師の大多数が

ハカイシャハイシャなのは

臨床治療に関しては

同じレベルの教育しか

受けていないであるからである。

また、

誠意があっても

技術がなければ

通用しないのが

歯科治療である。

だからつまり、

おれがDENTISTに

なろうとしているのは、

おれの歯を滅茶苦茶にした

歯医者どもへの

復讐のためなのである

ということを話した。

*****

おれは長野県の出身である。

木曽というと

知っている人は

いるかもしれない。

島崎藤村が

木曽路はすべて山の中である、

と断言した山奥である。

過疎である。

日本における

医療水準そのままに、

今も昔もここは

とんでもない地方で、

歯医者は

ハカイシャハイシャしかおらず

やりたい放題であった。

そこでは破壊活動と

歯科医療行為は

同義語であった。

おれの歯は

ハカイシャハイシャに

かかることによって

滅茶苦茶にされた。

高校入試1週間前から

歯ぐきが腫れて

膿が止まらず出はじめた。

長尾 という歯医者に行くと、

「大丈夫薬で治そう。」

と言われた。

原因は中1の時、

おれが交通事故で

前歯を折った時、

このハカイシャハイシャの

治療が滅茶苦茶

だったことに因っている。

ENDOの処置を

好い加減にしておきながら、

保険では白い歯はできない、

と好い加減なことを言って

自費で4本、

当時40万円も取ったのであった。

高い歯を入れた以上、

歯の中で神経が腐ろうが、

骨が溶けて

病巣が大きくなろうが、

たった2年くらいで

やり直すわけには

いかなかったのであった。

やり直すにしても、

正しい方法はどうせ知らない。

この歯は

その後も何度も

痛くなり瘻孔まで出来たが、

歯医者を変えても、

この抗生物質投与は

変わらなかった。

だからおれの体の中には

耐性菌が渦巻いている。

アメリカに

留学する2カ月前にやはり、

この前歯が痛くなり、

瘻孔からは膿が絶えず出ていた。

そのころ通っていた

英語学校の友達が、

自分の通っている

良い歯医者が銀座にあるから、

紹介してあげると言った。

天皇陛下の歯医者も

しているそうである。

この友達の家は

田園調布にあり、

父親は銀座で

商売を手広くやっていた。

信用するには足りる感じである。

その頃はまだ溌剌としていた

江添のおやじが学生の時、

何気なく始めた

リクルート本社の裏にある

診療所に行くと、

いきなり治療が始まった。

受付で保険証を出したのに、

帰り際には、

あなたの治療は保険では

出来ないので、

請求書の送り先を教えてくれ、

と言われた。

仕方なく実家の住所を書いた。

しっかり抗生物質と

痛み止めをくれた。

入り口の看板には

各種保険受付とあったのに、

薬までもが自費であった。

2回目の治療の前に、

この歯医者に、

「私の前歯は

ずっと痛くて膿が

出っぱなしだったのはのは

何故でしょうか?」

と聞くと、

「素人が

そんなこと知っている

必要はない。」

と言った。

「こちらで

やっていただければ、

同じ理由で

歯が痛くなることは、

もうありませんか?」

と聞くと

答えは返ってこなかった。

会話をなるべくしない

方針のようであった。

説明も何も無かった。

「だが、天皇陛下の歯医者

という話である。

特別に寡黙なのであろうか。

まあいいさ。

世間の常識では名医のはずだ。」

と考えた。

治療は合計20本になった。

費用は当時の高級外車が

1台買えるほどで、

請求書を受け取ったおやじは

0が一つ間違っているのではないか

と思ったのだそうだ。

しかし、

間違っていないことが

電話で問い合わせてわかると、

息子の将来を思えば、

天皇陛下の歯医者のような

名医にかかれて、

一生自分の良い歯で

過ごすことが出来るのであれば、

それは金には

換えられないと思って

払ったのだそうである。

おやじの歯も近医で

滅茶苦茶にされていたから、

歯の痛くなる

苦しみはわかっていた。

アメリカについて3カ月目、

11月の期末テストの

2日前のことである。

朝起きると、

あの前歯に鈍痛があり、

口の中で嫌な味がした。

瘻孔 から排膿していた。

そしてその痛さは

朝食も採れない程になり、

ちょうど寮の向かいの部屋が

歯学部の学生の

マイクであったので相談した。

すると、

今すぐ大学に行って

調べてみよう、

ということになった。

歯学部の診療室に行き、

問診を終え、

レントゲンも撮り終え、

口の中の検査も終わり、

教授の来るのを待っていた。

その間マイクは何も言わず、

困ったような顔をしていた。

おれが何を聞いても、

これは難しいケースで

担当の教授が説明するから

待ってくれ、

と言うだけであった。

アメリカの歯学部は、

一人一人の学生が

どのような患者を看ているか、

他の学生や教官に

解るようにレントゲン写真は

誰もが見える位置に置いてある。

いつの間にか、

大勢の学生がおれの

レントゲンを囲んでおり、

中には

「歯を見せて下さい。」

と言って

おれの歯を

見たがる連中も現れた。

皆同じリアクションで、

見ると、

ただ溜息をついて、

困った顔をした。

いよいよ教授が来た。

マイクとは

話が着いているらしく

目で合図をしながら、

おれに説明を始めた。

「何故、

歯が痛くなったか

わかりますか?」

「いいえ。

3カ月前に東京の銀座で

天皇陛下の歯医者に

全て治してもらったはずです。」

「確かに

高額な治療をされたのは、

歯のクラウンに

使われている陶器の

技術を見ればわかります。

ただ、

問題は外ではなく、

歯の中にあります。

このレントゲンは

正しい神経の治療を

された歯です。

そしてこちらが、

あなたの歯ですが、

違いがわかりますか。」

「正しくされている方は、

根の先まで白くなっていますが、

私の方は途中までしか、

行っていません。」

「その通りです。

そしてあなたの根の先には

こんなに大きな

病巣が出来ています。

膿が骨を突き抜け

瘻孔までも形成しています。

これを治して、

痛みを無くすためには、

もう一度根の治療を

しなければなりません。

ENDOです。

どのように、

しなければいけないか

わかりますか?」

「クラウンに穴を開けるのですか。」

「そうです。

そうなると陶器の歯は

どうなるかわかりますか。」

「やり直しですか?」

「そうです。」

たった3カ月しか

経っていないのに、

ダメになるという事実に

愕然とした。

しかし、今現在、痛い以上、

やってもらうしかなかった。

「わかりました。お願いします。」

「はい。

それでは今すぐかかりますが、

問題はこれだけではありません。

よくレントゲンを見てみましょう。

まず、この歯、

そしてこれ。次は...。」

*****

結局、天皇陛下の歯医者がした

20本の歯は全てやり直しになった。

たった3カ月で

高級外車一台の金は消えたのである。

ENDOの手抜きが原因であった。

目に見えない歯の中は

徹底的に手を抜き、

見える外側は美しく飾りたてる、

これが医療行為なのだろうか。

「ぼったくり」という言葉があるが

このような状況のために

あるような言葉ではないか。

学生が皆困った顔をして

黙ってしまったのは、

少なくとも

自分がなろうとしている

職業人の中に、

こんなひどいことを

平気でする人間がいる

という怒りと、

日本は歯科医療に関しては

非常に遅れている国だという諦念、

そしてそんなことをされた

患者への同情の気持ちからであった。

マイクはアメリカなら

こんなハカイシャハイシャは

訴えられて業務停止に

確実になる、と言った。

この時の教授も、

これは明らかに、

手抜き治療であると

アメリカなら判断されて、

しかるべき手続きが

この歯医者にくだされるだろう、

と言った。

しかし、

この歯科医院は

1997年現在も日本の銀座にあり、

自費の多い保険医療機関として

盛業中である。

ただ株で失敗して

借金は2億あるそうだ。

おれにこのような治療をした

ハカイシャハイシャは

大先生として今でもいる。

*****

おれが日本の歯医者に

復讐を決めたのは

以上のような

体験をしたからであった。

この時、

アメリカでやり直した歯は

いまだに快調である。

16年前に治して以来、

歯が痛くなったこともないし、

詰めたものが

取れたということもない。

それはおれが受けた

アメリカの治療は

アメリカの中でも

名医を選んで

かかったせいでもあろうが、

神経の治療をしても

定期的に歯が痛くなるとか、

詰めたものは1週間で取れ、

かぶしたものは

3カ月で取れるという

日本の治療は

一体何なんだろうと思う。

矯正をすれば

4年以上もかかり

終わるや否や

数年で元に戻ったり、

ブラケットの跡が

虫歯だらけになったり、

咬み合わせの

治療をしたら

顎が痛くなったり、

審美歯科という名のもとに

何でもない歯を削られたり、

挙げ句の果てに歯がなくなると、

インプラントという

予後が全くわからないものを

やられたりして、

日本人は歯医者によって

破壊と恐怖にさらされている

と痛感する。

*****

おれの身の上話が

一段落すると、TPは、

「じゃ、先生がやってくれよ。」

と、おれに言うので、

おれはまだ学生で、

あなたの症例のような

難しいのは出来ないのだと話した。

コーヘンはニューヨークでも

有数の名医で、

おれがあなただったら

謝ってコーヘンにやってもらうよ、

と言うと、

TPも状況が把握できたようで、

「じゃ、先生から

頼んでもらえるかな」

と言った。

おれはコーヘンのところへ行き、

事情を説明した。

本人も反省しているというと、

「じゃ、やってやるが、

このTPは特別料金にする。」

と言って倍近い値段にした。

おれがどうも

ニューヨークジュウと

呼ばれるユダヤ人に

なじめなかったのは

このような金銭に

対する一面も影響している

と思われる。

*****

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2回目のアポイントメントに

TPは40分遅刻してきた。

約束時間の15分過ぎても

TPが現れなかったため、

コーヘンはキャンセル料金を

徴収するよう

受付に命令していなくなった。

おれは時間があったので

待合室で教科書を

見ているとTPが来た。

別に急いでいる様子も、

悪びれる様子もない。

コーヘンはもう今日は

診ないからキャンセル料を

払って帰ってくれと言っていた

と伝えるとTPは怒りだした。

「歯医者がなんで

そんなでけえ態度ができるんだよ!」

と言うので、

アメリカと日本の

治療形態の説明をした。

アメリカは患者さん毎に

治療内容を考えながら

時間を取ります。

少なくとも

1時間はとるでしょう。

今日は2時間でした。

それはそれだけのことを

計画したからです。

できる治療は

一度のアポイントメントで

終わらせることは

ドクターにとっても

患者さんにとっても

メリットのあることだからです。

今日あなたが払う金額は

前回お話ししたように

2200ドルでした。

コーヘンは

あなたが寝坊したことにより

2200ドルの損害を受け、

あなたはまだ歯が痛いままです。

どんな安手のホテルでも

当日キャンセルや

NO SHOWには

キャンセル料をとるでしょう。

アメリカで

デンティストとの

アポイントメントは

とても重要なもの

とされています。

彼女とのアポイントメントと

同じくらい重要でしょう。

しかし、日本はどうでしょうか。

あなたと同じ時間に

何人もの患者が

予約を持っていたり、

時差があってもそれは

15分くらいであったりします。

歯医者も

患者から患者を

飛び回っています。

治療時間は長くて

10分くらいで、

何回も来させます。

治療費は1000円札で

おつりがくるほどです。

あなたがドタキャンしても

保険請求では来た

ことにしますから

損はしません。

中には

詐欺師のような連中がいて、

やってもいないことを

やったとレセプトに

書いて不正請求や

架空請求をしまくる

連中もいます。

つまりセコイ商売を

しているわけです。

しかし、

この不正請求が

日本の医療費の半分以上にも

達するのですから

日本の医療制度は

詐欺師によって

破綻にむかっているのです。

そして保険治療というのは、

患者が来さえすれば

収入になるわけですから、

なるべく多くの患者を

1日に診ることが

日本では目標になります。

従って治療の内容は

悪くなろうと、

デタラメであろうと

日本の歯医者は気にしません。

そもそも

日本の歯医者は

アメリカのような

臨床トレーニングを

大学で受けていないため、

歯科医師免許を取っても

何も出来ない者が多く、

就職してから

見よう見まねで覚える

という戦慄のキャリア

を積んでいるのです。

そのような過程で、

デタラメなことをしても

保険ならやっていける!

ということに目覚め、

デタラメな治療をやりまくります。

「すぐにだめになった。」

という患者の批判には

「保険だからね。

安物買いの銭失いだよ。」

と自分の技術のなさを、

自分がぼったくりに

利用している制度の

せいにして逃げます。

では今度は自費で

という人には

自費で行いますが、

所詮はへたですから

すぐにだめになります。

「自費なのに

なぜだめになるんですか?」

という問いには、

日本でしか通用しない

歯医者の決まり文句

「あなたの歯は

弱いんですよ。」

で対応します。

そして

「じゃ、やり直しは

保険でやりましょう。」

と失敗しても

また保険のせいにできる

気楽な方法を、

誠実な顔をして

患者にすすめ

ほとぼりをさまそうとします。

ここまで話すとTPは、

「先生の話は説得力があるね。」

と急におれをほめだした。

褒め殺しかと思っていると、

「じゃ、罰金払って帰るよ。

つぎはいつ来たらいいのかな?」

と殊勝なことを言った。

受付で事情を話して、

キャンセル料を払い、

次のアポイントメント

を取って帰った。

この後2回の

アポイントメントには

ちゃんと時間の

5分前には来ていた。

話せばわかるやつだった。

3回のアポイントメントで

痛みの元になっている

病巣のある2本の治療を行い

ENDOの過程は終わった。

それはTPがもう

ニューヨークにはいないから

痛いところだけを

治してくれと

頼んだからである。

TPは、

「ヨーロッパにも

暫く行くかもしれないので、

良く持つ材料で

開けた穴を塞いで下さい。」

と言った。

コーヘンはアマルガムを使った。

TPが

「どのくらいもちますか」

と聞くと、コーヘンは

「歯が割れるまで。」

と答えた。

そして

「割れるのが嫌なら

クラウンにしたほうが

良いでしょう。

ゴールドのね。」

と付け足した。

この頃はTPも

コーヘンとは

なんとか

やれるようになっていた。

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